【コロナ禍でも絶えることない無農薬クラフトラム酒づくり 】LAODI醸造責任者インタビュー
去年の酒づくりシーズン終盤、世界中で恐ろしいパンデミックが発生しました。そんな中、LAODIを製造するラオスでは政府による非常に厳しいロックダウン措置が取られ、完全に国境が封鎖されました。海外からの帰国者で49名発生しましたが、その後ラオス政府の措置が功を奏し、去年の4月以降ラオスで新規感染者数は発生していません。
そんな混沌とした状況の中、新たなシーズンへの準備を淡々と進めたLAODI醸造責任者の井上育三さん。新型コロナ発生後、一度も帰国できないまま、今までにない状況下でのラム酒づくりシーズンに挑戦した心境を今回インタビューしました。
稲子:まず今年のラム酒づくりを終えられた率直な感想をお聞かせください。
井上:コロナ禍で生産量を調整しましたが、じっくり落ち着いて今期のラム酒づくりに没頭できたのでよかったです。特にホワイトラムは発酵方式を変え兜釜式蒸留器での蒸留を行い、とてもピュアできれいなラム酒に仕上がりました。
稲子:兜釜式蒸留器ですか。兜釜式蒸留器が一体どのようなものなのか、そして兜釜式蒸留器での蒸留を行おうと思ったきっかけも合わせて教えてもらえますか。
井上:日本の大石酒造の社長から許可と図面をいただき、今回現地ラオスで兜釜式蒸留器を製作しました。この蒸留器はアジアで昔から使用されていた蒸留器です。蒸留器の仕組みは、もろみという原料を発酵させた液体をを蒸留器に移し、そこに蒸気を吹き込んで沸騰させます。沸騰した成分にラム酒の香りとアルコールが含まれており、蒸留器の上部に水を張った部分で冷やされ、液体となり、ラム酒がつくられます。少量ずつしかできず、大変手間がかかります。
これを採用しようと思ったきっかけはアジアで作るラム酒はアジアの蒸留器でつくりたい!と思ったからです。
※かぶと釜式蒸留器開発者 大石酒造株式会社 5代目大石啓元氏
大石酒造株式会社ホームページはこちら https://www.oishishuzo.co.jp/
稲子:たたでさえ手間のかかる、世界3%しかない製法のアグリコールでつくったものを、またさらに手間のかかる兜式蒸留を行うとは…。LAODIしかきっとやっていないラム酒づくりでしょうね!飲むのが楽しみです!
※このホワイトラムは2022年9月以降発売予定です。(2022年6月現在)
稲子:世界的に感染症が大流行するなか、今シーズンのラム酒づくり前はどんな心境でしたか。
井上:今期もラム酒が作れることに感謝!の気持ちを以前にも増して強く感じていました。
稲子:そうですね、健康であることに感謝をした一年でした。ラオスでコロナが大流行しなくてよかったです!
稲子:そして、その新型コロナはラム酒づくりに影響しましたか。何かコロナによって変化したことがあれば教えてください。
井上:例年ならたくさんの工場見学者がお見えになり、そしてインターン生も毎年お手伝いに来ていただけるのですが、今年は移動制限があるため希望者はあれど、実現はできない状況で、静かなラム酒づくりのシーズンでした。
また今年は従業員の数を減らし、少数精鋭での対応をこの1年してきたので、皆の仕事に対する姿勢がいい意味で意識変化がみられました。
稲子:なるほど。具体的にどのような意識変化が従業員の皆さんに起こったのでしょうか?
井上:仕事に対するモチベーションがアップしましたね。責任感が増しました。
稲子:頼もしいですね!
稲子:よろしければコロナ禍におけるラオスでの生活状況を教えてください。
井上:世界中がこのような状況の中、ここラオスは昨年3月末から陸路、空路全面閉鎖 まさに鎖国状態に。おかげで発症者は現在のところ49名、死亡者0、そしてマスク姿をほとんど見かけることのない、のんびりとした通常の生活です。
稲子:感染者がいないのは本当に凄いことですよね!マスクしなくていいのはとても羨ましいです(笑)
稲子:では、来シーズンへの抱負をお聞かせください。
井上:今は今期のラム酒づくりを終えたばかりで、そのデーターの整理などをしている時期です。なので来シーズンの抱負など?考える余地はありません。これから、ボヤっと四六時中、もやもやした思いを抱きながら、考えていくのだと思います。
稲子:最後に日本のファンへのメッセージをお願いいたします!
井上:コロナ禍で日本の皆様も自粛自粛の日々をお過ごしのことと思います。人との接触を制限することは、心が疲弊し委縮して、その弊害が大きくなっているとお察しします。こんな時、旨いラム酒を飲みながら、ゆったりとした解放されたひと時を味わってください。我々LAODIはこの厳しい状況の中、日々コツコツと自分たちの今できること、その旨いと皆様が飲んでいただけるラム酒になるために努力していきます。今後とも何卒ご愛飲の程宜しくお願いします。
稲子:井上さん、お忙しい中、インタビューをお受けくださりありがとうございました!
ラオスという日本とはまるっきり風土も人も文化も違う地にて、ひとりラム酒づくりに取り組み続けるのは孤独であり、答えのないものづくりだと思います。井上さんや従業員の皆さんの葛藤と情熱が、あなたの持つLAODI1本1本に込められています。ぜひ目を閉じて、何かを感じながらお楽しみいただけると幸いです。帰国の際にはオフラインセミナーなどを開催予定ですので、ぜひ機会があればお越しくださいね。
写真:井上育三さんご本人撮影
インタビューワー:稲子きよみ(株式会社シィクリエイティブインターナショナル・LAODI事業)
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